灯油缶(ポリタンク)にはどんな種類がある?何を選べばいい?それぞれの特徴や選び方
寒さが厳しい季節。
灯油を使った暖房を使用しているご家庭では、灯油缶(ポリタンク)からタンクへ移す作業が日課になりますよね。
せっかくなら、ストレス少なく行いたいこの作業。
今回は、灯油缶(ポリタンク)の商品の材質などの特徴や、容量ごとの商品仕様などをご紹介します。
灯油缶(ポリタンク)とは
灯油缶(ポリタンク)とは、灯油を保管したり、携行したりするための専用の容器のことです。
ホームセンターなどでも赤や青の灯油缶(ポリタンク)を目にすることが多いのではないでしょうか。
東日本では赤い灯油缶(ポリタンク)が、西日本では青い灯油缶(ポリタンク)が主流だといい、
さらに北海道は緑色がメインで青色も混在しているのだとか。地域によって灯油缶(ポリタンク)の違いがあるようです。
灯油の保管には専用の保管容器が必要
灯油に専用の容器が必要なのは、灯油が持つ特徴のためです。揮発性が高く引火しやすいのはもちろん、灯油が振動することで、容器の中で静電気が発生しやすいなど、法律で規制されている危険物なのです。
そのため、灯油缶(ポリタンク)に使われる材質は「高密度ポリエチレン」という材質でできています。
JISマークがついた灯油缶(ポリタンク)を使おう
さらに、灯油缶(ポリタンク)は、丈夫な容器であればどんなものでもいいというわけではなく、きちんとした規格やルールのもとで作成されます。
そうして作られた灯油缶(ポリタンク)には、消防法に則った証しとしてJISマークがついています。
JISマークがついているものであれば、保管場所や保管方法を守れば安心して使うことができます。
これは日本の製品だけではなく、海外で製造された灯油缶(ポリタンク)でも、
製造元がきちんとしていれば、日本で販売する際に認証を受けます。
灯油は取り扱い方を間違えると、命にも関わる程の事故になるおそれがある危険物ですので、
保管の際は必ずJISマークがついた灯油缶(ポリタンク)を使いましょう。
不良灯油、不純灯油とは
灯油は保管法にも注意が必要です。保管に適さない環境に放置しておくと、次のような状態になることがあります。
・不良灯油
長期間放置していたり、寒暖差が激しい場所で保管したりすることで品質が劣化した灯油です。
不良灯油は、黄色っぽく変色したり、異臭を放ったりします。
品質が落ちているため、火力が安定しないなどの問題があります。
・不純灯油
灯油に不純物が混ざった状態です。
ポリタンクのフタがきちんと閉まっていないことで水やガソリンなどの不純物が入ったり、
寒暖差によりポリタンク内部に霜が降りることで水分が混ざったりすることでおきます。
不純灯油は火がつきにくくなるほか、空気中に漂った不純物を吸い込んでしまうことで、機器に不具合を起こすほか人体にも不調をきたすおそれがあります。
灯油の保管に適した場所
灯油缶(ポリタンク)が安全な基準を満たしていても、保管場所が適切でないと上記のような不良灯油、不純灯油の問題が出てきます。
灯油缶(ポリタンク)は日光の影響を受けて劣化しやすい性質なので、
保管する際は直射日光を避けた場所にしてください。
そうすることで、ポリタンクの劣化だけでなく、灯油そのものの劣化も防ぐことができるでしょう。
なお、一度劣化してしまったポリタンクは破棄して新しいものに買い替えましょう。
灯油缶(ポリタンク)の買い替えの目安は?
一般的に、灯油缶(ポリタンク)の寿命は約5年といわれています。経年劣化によるひび割れや色あせなどがおきると、容器内の灯油にも悪影響となります。
特に、ひび割れした場所から灯油が漏れだしたら、火が近くにある場所では火災につながるおそれがあり大変危険です。
なお、灯油缶(ポリタンク)を買ってから5年以内の場合でも、上記のような劣化が見られたら、新しい商品に更新しましょう。
灯油缶(ポリタンク)の種類
灯油缶(ポリタンク)には、よく見かける赤や青の定番のもの以外にも、インテリアとしておしゃれなものがあります。
また、使いやすさにさまざまな工夫がされているものもあります。
容量も5L~20Lと商品によって豊富なサイズがあるので、使う頻度や保管場所のスペースなどを考え、ちょうどよいものを選びましょう。
容量
灯油缶(ポリタンク)で一般的な容量は、10L、18L、20Lの3種類です。ここでは、それぞれの特徴についてご説明します。
・10L
コンパクトで持ち運びがしやすく、灯油を入れてもほかの容量のものより軽量なのが10Lの灯油缶(ポリタンク)です。
ファンヒーターや灯油ストーブのタンク容量は通常10L以下ですが、1
0Lの灯油缶(ポリタンク)が1つだけだとすぐ使い切ってしまうでしょう。
そのため、保管用の予備があると安心です。
20Lのものを1つ用意するよりも、圧倒的に持ち運びが楽になります。
持ち運びの簡単さや、置く場所に広さを必要としないことを考えると10Lがおすすめです。
・18L
灯油缶(ポリタンク)の容量として一般的なのが18Lです。
これは、ポリタンクが使われるようになる以前、灯油の保管容器として一斗缶が使われていたことが元となっています。
一斗とは18Lのことで、灯油もそれに合わせて販売されていました。その流れを引き継ぎ、現在も18Lの灯油缶(ポリタンク)が販売されています。
18Lの灯油缶(ポリタンク)いっぱいに灯油を入れた場合、1人で持ち運ぶのは難しいでしょう。
暖房器具の設定温度や使う頻度によっても、必要な灯油の量は変わってくるので、暖房器具の燃料消費量をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
・20L
20Lの灯油缶(ポリタンク)は、とくに灯油の消費量が多いご家庭に適しているでしょう。
容量が多いので、車輪が付いたタイプの灯油缶(ポリタンク)を選んだり、
台車やキャリーを用意したりと持ち運びには工夫が必要になりますが、
1度に大量の灯油を入れておくことができるので、購入する頻度が少なくて済みます。
また、容器自体が大きいので、場所は取りますが、置いたときに安定感があるというメリットもあります。
20Lの灯油缶(ポリタンク)を購入し、10L分だけ入れておくという方法もあります。
形状
灯油缶(ポリタンク)を購入する際、容量のほかにも形状が重要になります。ご自宅の収納スペースや、灯油を移すときに使いやすい物を選びましょう。
例えば、省スペースを重視するならばスタッキングできるタイプの灯油缶(ポリタンク)がおすすめです。
平らなスペースを充分に確保できなくても、重ね置きができれば縦のスペースを活用できます。
とくに、10Lの灯油缶(ポリタンク)をいくつか用意する場合は、スタッキングできるタイプだと便利でしょう。
灯油缶(ポリタンク)から給油するときに重要な灯油ポンプ
灯油缶(ポリタンク)から、暖房器具などのタンクへ給油する際に必要な灯油ポンプにも種類があります。
冬場はこまめに使うものなので、灯油缶(ポリタンク)同様に、使いやすい物を選ぶことでストレスを減らすことができるでしょう。
灯油ポンプには、「手動式」と「電動式」があります。
それぞれに特徴があるので、メリットとデメリットを考慮して選んでみてください。
・手動式
昔からある定番の灯油ポンプです。
灯油ポンプ自体が安価なことや、電気を必要としないので、災害時などでも簡単に使えることがメリットといえるでしょう。
手動式には加圧式と手回し式がありますが、一般家庭で使われているのは主に手動式です。
手動式の灯油ポンプは使い方もシンプルです。
赤いポンプの部分のねじを締めたら、灯油缶(ポリタンク)に吸入ホースをさし、灯油タンクへ長いホースをさします。
このとき必ず、灯油缶(ポリタンク)を灯油タンクよりも高い位置に置きます。
あとは、赤い部分のポンプを数回押せば、サイフォンの原理で自動的に灯油タンクへ給油されます。
手動式のデメリットとして、自動停止機能がないことが挙げられます。
灯油タンクの中は暗くてよく見えないので、適切な量をぴったり入れられるようになるには、少しコツが必要かもしれません。
・電動式
手動式に対して、力を使わず少ない時間で給油できることや、自動停止機能がついていることが電動式のメリットといえるでしょう。
自動停止機能があれば、誤って給油タンクから灯油を溢れさせてしまう事態を防げます。
電動式は、給油作業をする場所に電源ケーブルの差し込み口がなければ使うことができません。
また、停電時に使えないというデメリットもあります。
ただ、電動式には乾電池式の物もあるので、電源ケーブルにつなぐものよりパワーはすこし落ちるものの、こうしたデメリットはカバーできます。
灯油ポンプには、灯油缶(ポリタンク)に固定できるものがあったり、
給油ホースの長さがさまざまあったりと、商品ごとの特徴があります。
給油の手間が省けるように、手動式、電動式のメリット・デメリットのほか、それらのことも考慮して選ぶことをおすすめします。
灯油ポンプをストーブで使うときに気をつけること
法律で危険物に指定されている灯油は、扱い方に充分な注意が必要です。
可燃性のある液体なので、使い方を一歩間違えれば火災などが起きてしまうおそれがあります。
給油の際に使う灯油ポンプは、ひび割れていないか、劣化している部分がないかを必ず確認しましょう。
劣化していると給油の際に灯油が漏れてしまうことがあります。
また、給油する際は、近くに小さな子供やペットなどがいないか確認し、安全な場所でおこないましょう。
寒いと部屋の外に出るのが億劫になりがちですが、給油タンクが倒れたり、給油ホースが抜けたりすると危険です。
給油タンクは、給油し終わったあと液漏れしていないかも注意が必要です。
万が一液漏れしている場合、暖房器具の電源をつけたときに引火して火災になるおそれがあります。
また灯油を使った暖房器具の使用時は、ストーブでもファンヒーターでも、洗濯物やカーテンの近くに置かないようにしましょう。
灯油缶(ポリタンク)を安全に管理して暖かい冬を過ごそう
灯油ストーブやファンヒーターは、使い方さえ気をつけていればとてもあたたかく、寒い冬には欠かせない暖房器具です。
給油の手間はありますが、灯油ポンプを手動式にするか電動式にするかを選んだり、
灯油缶(ポリタンク)を使いやすいものにしたりして、ストレスを少なくしたいですね。
また、家にこもる時間が長くなる時期でもあるので、使いやすさ以外に見た目も重視してみるとよいかもしれません。
赤や青が定番の灯油缶(ポリタンク)ですが、好みの色のものや、海外製のものを選んでみるのも楽しいですね。
安全に気をつけて、ぜひ暖かい冬を過ごしてくださいね。